
■暑さの原因、窓外の景色の善し悪し、「窓越緑視率」:keyword■
暑さの原因になる要素はさまざまです。
その主要な要因の一つに「景色の良し悪し」がある、という、
「え?室内の暑さに室外の景観が関わる?それどういうこと?」、
と問われるお話です。
屋根、壁、床に比べ、窓は、10倍以上熱が出入りする要素なのです。したがって、室内を涼しく保つのには、天井、壁などに先立ち、窓周りの工夫を実施する必要があります。
そして、その外から入ってくる熱の成分を見てみましょう。これは高橋達先生の論文からお借りしています。

屋根部分は45度以上になっていますが、森の部分は35度以下です。実は、程度の差はありますが、建物も、舗装も、空も、熱を発する存在なのに対して、緑だけが熱を発しない存在であることが示されているのです。
高温の物体は、暑い熱を放射します。それはいくら遠くにある存在でも力を持っていることに驚かされます。
その例として挙げられるのが、太陽です。太陽ほど遠くにあっても、太陽という高温の物体が放射する熱線は、地球の私たちの体に、あるいは窓を通して家の中に入ってくるのです。
同じように景色として見えているすべての高温の物体から、それがどんなに遠くに存在していたとしても、その放射した熱線は窓を通過して室内に入ってきている、という信じられないようなお話なのです。
したがって、窓の外に見える景色が、建物や、舗装面や、空などによって大半を占められていると、沢山の熱線が、室内に入ってくることになり、部屋の中が暑くなってしまいます。反対に、窓の景色のほとんどが緑であれば、室内は涼しくなるということになります。
そこで、何とか、窓の外の景色に占める緑の割合を増やしたいという願いから、「窓越緑視率」という考え方を導入しています。
写真は、先日から参考として取り上げています「涼の家吉祥寺」の、窓越しの景色です。一部、塀や地面なども見えますが、ほとんどが草木という緑で占められています。
「高い窓越緑視率」を示しています。
どの家も、「どこを歩いても緑豊かな景観に満たされている町」の中にあれば、この家のような「高い窓越緑視率」が得られ、涼しさを確保できます。そんな町になったらいいですね。
残念ながら、国内にはそうした町がまだ少ないのです。そこで、次回は「窓越緑視率の工夫」
について触れます。
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