
■上棟式って、普請、思いを合わせて:keyword■
しきたりや歳時記など、忘れていても済むような時代です。そういう時代だからこそ、「良かった」ことなのではないか、と思われることを繋いでみようとすることは、労を要することですが、すがすがしささえ感じる催しになるものなのだと感じました。
素晴らしい上棟式にしていただきました、ありがとうございます。
建築の現場では、いろいろなことを、先輩から教えていただきます。
家を建てることは、それほど遠い昔ではなく、「建築」とは言わず、「普請(ふしん)」と言っていました。
これは、家を建てられるようになった自分の境遇に感謝し、良い意味でのお布施と同様のふるまいをする機会、という意味だそうです。
とくに、柱梁という骨格を棟まで組み上げる、「上棟」は、かつて、近隣の多くの人たちの協力によって実現したもので、近隣とのお互いさまの相互扶助的仕組みによるものであり、「普請」の象徴的な場面です。
家を建てる側から近隣へ、という方向性の構図で見れば、ふるまいが、諸々への感謝のあらわれであり、それが、近隣社会経済の創出になっていたようです。
現在ではほとんど見られなくなった、上棟式のはなやかなイベント「餅まき」もその象徴だったのでしょう。
エクセルギーハウス多摩の建て主は、まだお若いご夫婦です。
しきたりなどに縛られる何物もない世代です。だからこそ、心のこもった、本当にすがすがしい、上棟式を私たちに施していただけたのではないか、と感じます。
写真のような手料理をいただきました。驚いたのは、多くの若い世代が作ることができなくなってきているメニューが並び、そしておいしかったことです。それは、まさに日本らしい料理です。素材として、つわ蕗などの地域の野草も入っていました。
建て主が、上棟式の習慣のなかで「これは良い習慣」と思ったことを、繋いでゆこうとする労は、日本の食のすばらしさを繋いでゆくことにもなるのかもしれません。
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黒岩さんの文章、見せていただいています。自分が仕事をするごとに、生活をしていく中で、いつも黒岩
設計室時代に学んだことが基礎となって今も自分を成長させてくれていると思って過ごしています。
年を重ねるごとに黒岩さんの探究心(楽しいことを見つけた時のきらきらする目)、などなど益々素晴
らしいな、と陰ながらますます応援ごころ、尊敬心は高まっております。これからもお体にお気をつけ
て、頑張ってください。また、お便りします。