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古材、土壁

蕨宿町屋再生
五穀市

地域にはぐくまれてきた建築

中仙道の蕨宿に、150年ほどたつ町屋が、大切にされていました。さすがに20年ほど使用されてこなかったこともあり、かなり傷んでいるところもありました。御主人は、何とかこの建物を残し、活用できないかと思っておられました。その実現に参加、お手伝いをさせていただいたときの話です。

敷地の半分は道路が通ることにより失われます。残りの半分を生かす検討でした。1つの蔵と住まい部分は失われましたが、もう1つの蔵と店部分を残し、合わせて賃貸店舗として復活させることができました。

古い建物は骨組みだけになるまで、いったん、解体しました。そして一本一本チェックをします。柱の下のほうなど痛みが激しく、取り替えるものも沢山ありました。材料は煤けていてどれも真っ黒です。しかし良い環境に位置していた梁などは、削ると今でも脂が出てくる、まさに、新鮮そのものであることに驚かされます。

学生の頃に学習した、「木は生長に要した年月分は、切り出した後その強度を増してゆき、その後緩やかに強度を減じて行くのだ」ということを思い出しました。「300年かけて育った木は切り出してから300年は強度を増し、その後緩やかに強度を減じてゆく」ということなのです。
しっかりした材料を、しっかりと組んだ木造建築の寿命が、如何に長いかということが分かります。

蕨宿の建物では、いろいろな発見がありました。

150年前につくられた建物に使われている木材の一部は、当時すでに、その近くの、いずれかの建物で使われていた使用済みの材料であることが分かりました。つまり、この建物の材木という建築素材の誕生は、さらに50年も100年も遡ることになります。そして、「古材」活用はありふれたことだったとも表現できます。

土壁を採用しようとしました。さまざまな事情から、この建物で使用することはできませんでしたが、この試みによって教わりました。まず、左官屋さんが、古い建物の、土壁を見に来て、「これで大丈夫だ」といいます。

土壁は、実は100%再利用できる建築素材なのです。「リサイクル」を推し進める前に、身近に、昔から、容易に再利用できるあたりまえの建築素材があったことを思い出せばよかったのですね。左官屋さんは、新築に使おうとする量の土壁が、古屋に存在していることを確認して「大丈夫だ」と話してくれたのです。

実は、「新しく建てようとする建物の木材や壁材は、すでにその地域の中でストックされていた」、「建築材料は、何回も建代えや改修などしても、ゴミとして地域から外へ出てゆくことなく済む方法が存在していた」ということが重要だと思います。
「建築は地域によってはぐくまれている」という、その一面です。建築素材もできるだけ「散らかって行かないこと」が良いですね。

ところで、先日もったいぶりました国分寺のフランス料理店ですが、「ダンラシェット」tel0423-28-1166です。是非行って見てください。
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