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色褪せの色差し

木材の色褪せ
■衛生問題、有毒な色、色彩計画:keyword■

大掃除という習慣も、このごろのライフスタイルでは、なかなかむずかしくなってきているように思います。

結構、現代の生活の方が、実質的に衛生的でないことも多いのです。

天井面は目から遠い位置にあるので、目につくことがほとんど無く、気にもならないのですが、実は、一年もすれば、そこには、たくさんの埃がついているのです。


以前は、そうしたあまり目につかないものでも、しっかり落としておかないと、ということで、「天井のすす払い」が、大掃除のメインになっていたような気がします。

現代の生活では、天井に埃が付いているかどうかより、天井が変色してきたかどうかに関心があって、埃を払うことよりも、「あと何年か、張り替えるまでもたせよう」という風に、意識が向きがちです。


きれいにするという意味が違ってきています。

自分が学生の時に、絵を教えてくれた教授が、
「世の中には、汚い色というのはないのだよ。どんな色も、隣の色しだいできれいに見えるものだ。色はすべて、相対的な関係にある。」
と教えてくれたことは、自分の人生に、強く響いています。

近代化の過程で、原色に近い色、派手な色、光り輝くものなどが、工業的に容易に作れるようになり、使えるようになりました。
そうすると、街の中にそうした色が侵入し始めました。
すると、今までの街の色が、相対的にくすんだ色のように、汚い色のように、見えてきました。
したがって、そうした、人工的な色が求められ、街中に氾濫し、さらには、そうした色の方が美しいとまで、思われるようになってしまっています。

それまでの街の色は、地域の自然に無理を与えない、地域の自然から誕生したものでした。そうした街が世界一美しいと、来訪される海外の方々から評されてきました。

派手な色は、重金属等の毒物からなることも多いので、そうした色の使用は、画龍点睛として、極めて少量のほうが何かとよいのです。

瓦など焼いたものの黒、比較的多く生産できた漆喰の白、それに木部の「グレー」、つまりほとんど基本は、白黒グレーの世界だったことに気がつきます。これに地域ごとに異なる地元の土の色が壁などに加わったりして、地域ごとの街の色を醸していたようです。


木部の「グレー」?

そうなんです。自然の木部は、ほとんどグレーなのです。木の幹も、うっすらと黄色がかっていたり、赤みを帯びていたりしますが、ほとんど、茶色ではなくグレーです。製材された木は、当初肌色ですが、地域の中に定着する頃には、グレーになっています。微妙に樹種により、そのグレーの色味が違っているのが、それがまた素晴らしいのです。

建物の木部は、時間がたてば、写真のように、みなグレーになるのです。そうした色褪せた状態を、最初から計画にいれて、色彩計画をしてゆくことが、本当は大切なのだということを教えてくれます。

ちなみに水にぬれにくく、水を含みにくい部分であれば、木部は塗装しても効果がないことも分かってきています。

高齢化の社会です。年寄りが街に出ても素敵にみえることがいいですね。色褪せたものが素敵に見えるのがよいのです。「色褪せの色差し」も、もとめられているでしょう。









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