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生かすこと(その2:木材を乾燥させすぎない)

庄助さんの庵
■伝統的構法、人口乾燥、技術の進化の過程:keyword■


東京ガスから依頼がありました。
「赤池学氏とジョイントして21世紀の住まいのモデルを、新宿の高層ビルの建物室内に建造して欲しい」
というものでした。21世紀を迎える年でした。

日本の伝統的な組み方の建物に、自然の恵みを活用し(エクセルギーシステムの導入)、それとは対照的な燃料電池などのハイテクも組み込んだモデルでした。


私を可愛がってくださっている、福島舘岩村の大工さんたちが登場。
会場で、大舞台を繰り広げました。
大きな丸太を室内で息を合わせながら振り回すのは、それはさっそうとしていて見事でした。

ところが、この室内の工事の次の日から、彼らが、皆、風邪を引いてしまいました。寒さに強い頑強な面々です。
同時に、せっかくの福島の地元の自慢の木材も、組み込まれた次の日から、バリバリ、バリバリと音を立てて割れていきます。

思い出しました。室内が乾燥して、湿度が40%以下になると、風邪を引きやすくなるという医学的資料を。

エアコンによって、暖かいが乾燥しすぎている室内は、人間の体には良くないのです。それは木にとっても同じです。

福島ではまったくバリバリ言わない材木が、この部屋では1日にして言い始めます。炭鉱坑内にお供してくれるカナリアのように、木は私たちにバリバリと言うことでその危険を知らせているのです。

バリバリ言わないように狂わないようにと、人口乾燥させ、木を殺すことが、20世紀にたどるべくしてたどった技術進化の過程だったことに気がつきました。つまり、生きているものを制御するよりも、死んだものを制御する、あるいは管理する、ことの方が簡単だからです。


人口乾燥させ木を殺すよりも、バリバリ言わないような室内環境をつくりあげ、人も木も「生かす」ということに熱心になる技術の時代になったのだなあ、と思ったものでした。
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