
■伝統的構法、柔構造、変形、揺れ:keyword■
金物を使わないで木造を作ってほしい、と思う方が増えてきています。木が生きているという特性を生かした建築の方が本物である、と思うようになってきているようです。
法制度や、一般流通は、まだ、「生きたものを扱うよりも殺したものをあつかう方が容易だ」という進化過程の、20世紀型技術レベルから抜け出していません。
にもかかわらず、中途半端ではなく、伝統的な木組みを徹底している工務店には行列ができています。
しかし、金物を使わない中途半端な方法は、かえって危険なこともありそうです。金物を徹底的に使わないのであれば、「筋違い」という、建物を固くしてしまう要素も、建物から排除し、「貫」的な構成を採用することが、安全上必要となります。
伝統的構法の建物は、生き物のように変形します。1階分で数センチなどの変形は、当たり前です。そうした柔軟さによって地震にも耐え、季節変化にも対応し、長持ちもしていたわけです。
それは素晴らしいことだと思います。しかし、そうした変形は、毎日拭き掃除をしなければならなかった砂ぼこりの侵入や、暖房の熱が室内を暖める前に室外に逃げてしまうような、もったいなさをもたらします。
つまり、現代の都市的な暮らしと、かみ合わないことが多くなるでしょう。
建物が生き物のように、激しく変形しても、現代生活に一向に差し支えないようにできる技術の工夫、その取り組みに、つい熱心になってしまいます。まさに、技術が進化してゆくことを実感できるからです。
しかし、当然、今日の都市的な暮らし方について顧みることは、さらに大切なことだと感じます。
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